学校だより

思いやりと尊重

校長 古川 明子

                         

 「いじめは、犯罪のデパートのようなものだ」この言葉は、以前勤務していた学校でスクールロイヤーの先生が話していた言葉です。とても印象深い言葉だったため、ずっと忘れずに心に残っています。

 皆さんは、どんな行為が「いじめ」であると考えていますか。嫌なことを言われる、たたいたり蹴られたりする、けがをさせられる、物を傷つけられる、嫌なことを無理やりさせられる、個人情報を拡散される、SNSで悪口を投稿される、金銭を要求される…など、他にも思い浮かぶ例があるかもしれません。いじめ防止対策推進法において、いじめは、「当該行為の対象となった児童生徒等が心身の苦痛を感じているもの」と定義されています。つまり、被害にあった生徒が、心身の苦痛を感じたことが、いじめとなります。

 人それぞれ、感じ方も考え方も異なります。いじめを行う加害者にとっては、単なるからかいや遊びの気持ちだったり、相手を傷つける意図はなかったりすることもあるかもしれません。でも、その言葉や行為を受け取る相手が、同じ考えであるとは限りません。後になってから、「そんなつもりはなかった」「いじめているという感覚はなかった」と言ったところで、発してしまった言葉や、行ってしまった行為をなかったことにはできません。そして、意図的に相手を傷つけようと思えば、あなたの言葉や行為で、簡単に相手の心を、相手の身体を傷つけることができます。最悪の場合、相手の未来までも奪ってしまうことにつながります。

 冒頭の「いじめは、犯罪のデパートのようなものだ」という言葉は、いじめが、犯罪の集合体であることを示唆しています。例えば、先ほど例に挙げた、嫌なことを言われる(侮辱罪)、たたいたり蹴られたりする(暴行罪)、けがをさせられる(傷害罪)、物を傷つけられる(器物損壊罪)、嫌なことを無理やりさせられる(強要罪)、金銭を要求される(恐喝罪)など、事案の程度にもよりますが、どれも犯罪といえる行為に該当します。このように、いじめは、皆さん自身の未来や可能性を奪うだけでなく、未成年である皆さんの保護者の方へ、多額の金銭的賠償が求められる場合もあり得ます。だからこそ、皆さん自身の言葉や行動にはしっかりと責任をもち、誰かに嫌な思いをさせていないかと考えることのできる想像力と思いやりで、温かな人間関係をはぐくんで欲しいと思います。

 その上で、もし相手への言い方や態度を間違えたと思ったら、すぐに直せる人でいてください。あなたの言葉や行為を受け取った相手が「嫌な思い」をしたままにしない努力と、同じことを繰り返さない努力をできることが大切です。そして、嫌なことをしている人に便乗するのではなく、ダメなことはダメだという規範意識をもち、仲間を見つけて、困っている人を助けられる人や、1人で何とかしようとせずに大人に助けを求められる人になってください。

 二東生の合言葉である「スマイル」の「マ」は、まとまる。他者への思いやりをもち、尊重し合うことです。自分も、自分の周りの人もそれぞれが大切な存在であると尊重し、よりよい人間関係をはぐくんでください。安全・安心で快適な学校生活は、皆さんの思いやりと尊重の上に築かれるべきものだと考えています。

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